甲斐扶佐義 写真展 The Innocents Abroad 赤ゲット外遊記 フランス篇
今回の「赤ゲット外遊記 フランス篇」は、2010年パリでの5月の個展と6月のエマニュエル・ギベールとの2人展および2011年9月パリでの個展、ついで同年12月のAix-en-Provenceでの個展の際に、その合間をぬって、ロワール、マルセイユ周辺を徘徊して撮影したものである。
赤ゲットというのは、田舎者、お上りさんの古い言い方である。京都でも僕は田舎者として40年以上撮影してきたが、パリなど、およそ自分には似つかわしくないと思ってきた。そのフランスのパリ、エクサンプロヴァンスなど、敬愛する写真家(アッジェ、ブレッソン、ブラッサイ、ドアノー)らが撮影し、作品を残してきた街にほんの少し足を踏み入れることになった。これはその田舎者の不器用な記録、日記である。
セーヌ、シャンゼリゼ、リュクサンブール公園、ルーブル美術館など名所が登場しないのは、60才をすぎて、手元足元不如意、言語不案内で、自律的に動けなかったせいでもある。 にもかかわらず、そんな僕に対して、この40年間京都で築いてきた友好関係とはいえ、実に多くのフランスの作家、アーチストたちが献身的な協力を惜しまなかったのは感謝に堪えない。その友情が写真展の中に見えるかたちで出ていないという憾みはあるが、それは、次の課題としたい。
2013年3月12日〜3月24日