中村趫展 幻の50年
最近50年程前に撮影した写真を引用する機会があった。絶望の中にも明日の輝きを見ていた60年代末の時代に、憂鬱で多感な感性がロックと写真、そして政治を同時にキャッチしたと云うこと以外に今の時点で大昔の話の理由は不要だろう。それから半世紀以上が幻の如くに過ぎ去り、今に通底する。そして2021年秋、この社会状況の中で私たちがこのまま違和感を封印し、思考停止を続けるなら「茶色の朝」(フランク・パヴロフ)うぃ迎えるのは必至な状況まできた。今回の展示では懐古的意味合いは一切なく、極めてロック的に時間軸を解体して、時代と日々のリアルを表出したものだ。思想はすでに私よって生きられているし、いつの時代も夜は深く、廃墟は美しい。
2021年10月26日〜11月7日