フラット 染色のメチエシリース vol.1捺染
本展は、京都精華大学芸術学部素材表現学科テキスタイルコースの在学生2名と卒業生2名、そして教員2名によるグループ展です。
私は2005年からJTC
日本テキスタイルカウンシル主催「テキスタイルの未来形」展のキュレーターとして毎年のように各地の美術館やギャラリーなどでお世話になり、そのご縁で2010
年からテキスタイルコースの講師とし大学教育に関わってきました。
本展は「染織のメチエシリーズ」というシリーズ展の第一回目、「捺染」です。
「捺染」という技法は、版画にとてもよく似ています、というか版画表現そのものです。複製芸術である版画の中でも木版、型紙(ステンシル)
、シルクスクリーンなどは、とても馴染みのあるメディアです。
今回のグループ展では、日頃からメッセージ性の高い作品を制作している在学生と卒業生が選ばれました。彼女たちの目からみた社会とアートの関係を紡ぎ出します。社会に対する個人的な疑問や違和感がモチベーションとなり、社会に対して問いかけ共に考えるという共通の姿勢や態度を持っています。
今日アートは社会との関係で成立し、作家個々のメッセージは社会に投げかけられ社会の矛盾や問題を洗い出します。よく言われることですがデザインは、問題や課題を解決し、アートは問題を浮き彫りにします。
これに対して教員たちは、彼女たちから投げかけられたメッセージと問いに対して共に考え、理想的には答えを導きだせればと思っています。
この実験的な試みは、毎年継続して企画・開催していきたいと考えています。
加藤義夫(キュレーター/美術評論)
2013年12月3日〜12月8日