京都河原町の現代の美術・工芸の発表の場|GALLERY MARONIE

現代の美術・工芸の発表の場として、ジャンルは問わず個展を中心に展開。異なった3つのギャラリースペースを持つ京都のギャラリー。

井田彪展 air to air resoance ‐共振‐

「air to air」 その制作と思い

 

「わたし、いま、ここ」をつねに問いかけて、包摂(ほうせつ)し、囲繞(いじょう)されている世界に感応し、さまざまな環境や自然や壮大な宇宙のなかで生きている。そこに私がいて、あなたがいる。

そして、この生き、生きられる大地の空間には、「空気」といった生命をもたず、眼にみえない物質がある。この「空気」が地球上の自然界の万有の動の始原のひとつである、と考える。その「空気」は、つねにそれ自体を動かすとともに、他のものをも合成や分解や増大や生成や消滅させ、さらに変容させる動的存在である。そして生命系を維持する現在的存在である。

この動的存在である「空気」は、自然界の生命や物質を変容させつつ、地球上の森羅万象を循環させる存在でのひとつである。この「空気」を主テーマ[air to air]として、これまで造形活動を展開している。

その造形行為で「空気」を顕在化させ、そこにたたずむ他者に「空気」を視覚化し、体現させようとしている。翻れば、いわばこの顕在化は、私の存在を鮮明化することであり、そして「生きる今」を他者とともに共振し、共感することである。

他方、この「空気」である「air」を広義な意味での「空間」として捉え、膨張しつづける宇宙の中の地球、その地球に生きる「わたし」という関係を作品に取り込み、さまざまな素材でもって造形を繰り広げている。それは「空気=空間」の視覚化と「人間の感性」を蘇生させる場と場所を創り出すことでもある。

また、「空間」は開かれたものとして存在しており、未来を暗示し、次の行動を招いているものである。そこにあるものは「なぜ在るのか」、そのものがあること自体、意識下では「存在と無は同一か」とも考える。

さらには宇宙の創始から、その形成過程の今、その瞬間に存在する「私と、私である私」を覚える。これは近未来の「私と、私である私」につながる。

こうした考えのもと、それぞれの人々が「わたし、いま、ここ」を問い、そして、それぞれの人々が「生きるわたし」「生きられるわたし」であるその存在に気づき、互いに「生」「生きる」を共振、共感、共有できることを目ざして作品を創作している。

ぜひ、作品を通して、眼にみえない「空気」を全身で感じとってもらい、「宇宙」のなかの「わたし」である「あなた」を見いだしてもらいたい、と思っている。

井田 彪

 

 

2013年10月29日〜11月10日

10.29-5F
  • 5F-1
  • 5F-2
  • 5F-3

井田彪 Ida Akira