井尻雅之展 考える空間-時について、赤-
龍谷大学大学院文学研究科教育学専攻臨床心理学領域 修了予定
考える空間~時について、赤~
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし、世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。
方丈記より
前回の発表で「3」は「時」を表すと乱暴にまとめてみましたが、今回はその流れを受けて、「時」をテーマに制作してみました。
冒頭の文章は地球誕生45億年の歴史の中で、我々の生きる時間が河の流れの中のうたかたのように感じられて、とてもスケールの大きな文章に思われます。
1年に4度、春夏秋冬と季節が巡り、我々の人生が約70年とすればそれぞれの季節は70回しか感じられないのです。日常の視点では今日は暑いとか、寒いとか大変なことはありますが、大局的にみればその暑さ、寒さもたかだか70回分なのです。
有史以前より脈々と積み重ねてきた「時」を確実に捉える術を持ち合わせておりませんが、その一部を切り取ることができれば「時」の実態に迫れるのではないかと思いました。
時の狭間に結んだうたかたのように、ほんの少しの間だけ皆さんの記憶に残ればと思います。
2013年3月19日〜3月24日