片岡利恵 写真展「その時が来る前に」
彼女が日々見ているものを推し量ることはできない。花を見つめるその眼差しは、生の儚さを慈しむものではなく、目を逸らしたくなるほどの生生しい光景の訪れを、逃すまいとする強い眼差しだ。それでも、他者の痛みに鈍感な我々は、彼女が見つめた花々に儚さと美しさを感じてしまうだろう。なぜならば、そうすることでしか生を肯定することも、死を受け入れることもできないから。それは、弱く、器用な眼差しだ。彼女はその弱さを知ってもなお、見つめ、その時を伝えようとする。それは、強く、少し不器用な眼差しだ。館野 帆乃花 (ライター)
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2018年9月4日〜9月9日