捨児のウロボロス 詩と土 高橋秀明・武田浪
「自然を超えるもの」とは
「初めに神が天地を創造された」。「地の土くれから人を造り、彼の鼻に息を吹きこまれた。そこで人は生き物となった」。六日目に神は言った。「われわれは人をわれわれの像の通り、われわれに似るように造ろう」。(「」内は関根正雄『創世記』より)
紙が作ったものをネイチャー(nature 自然)と言い、人間の作るものをアート(art 技術・芸術)と言うなら、土はネイチャーで土器はアートである。また言葉はネイチャーで詩はアートである。土から造られた私たちは、神のゴーレム(泥人形)でありながらも言葉とともに在って、二十一世紀に邂逅している。
芸術や技術の根底に私たちが読む文字はいつも、そんな、「詩と土」の<創世記>を湛えているだろう。
2015年6月2日〜6月14日